
携帯の通知に気づいてLINEを開くと、「本日打ち合わせよろしくお願いいたします。」と書いてある。自分の記憶の予定と違っていて、焦って手帳を確認する。手帳と施主が合っていて、私の認識が間違っている。2-1で私の記憶の負け。よかった。もし連絡が来ていなくても手帳を見れば自分の記憶が間違っている事には気づいていたはず。手帳対記憶が1-1の引き分けの場合は自動的に手帳が勝利するルールになっている。おかげで目が覚める。
味噌汁を飲んで、今日の予定のチェック。子供は先日の残りのシュガードーナツ。
現場調査と打ち合わせに向かう。築30年くらいの住宅の外壁張替えの相談を受ける。どう見ても建築家が絡んでいると思い質問したら一緒に仕事をしたことがある大先輩の建築家が担当していた。
外壁の張替えが希望だったが、塗り替えも提案する。張替えの場合は塗り替えに比べて外壁についている設備や器具を一旦外したりする必要があるのでコストも時間も相当かかる。外したら復旧できないものもあるので、今回は塗り替えの方が適当ではないかと判断し話をする。
張替えやメンテナンスをしやすいように、という考えに重きを置いて建築をする事はあまりない豊かな時代がかつてはあったと思う。かっこいい家を純粋に建てようと施主と建築家と工務店が一体となっていた空気を感じる。建築家の美意識は、寛容な施主によって実態化される。
材料や工法の進化、法律の改正によって、建築は標準化されて、製品化してきている。成熟してきたという言い方もできると思う。進化であって退化ではないし、改正であって、改悪ではないとも思うが、社会が許さなくても、発注者と受注者がよければ成立していた数十年前の時代を目の前にして思う事は多い。
移動中はYouTubeを聞く。アドラーの嫌われる勇気という本の解説。昔大きく影響を受けた本。もう三回くらい読み返している。読む年齢によって受け取り方が変わっていく。面白い本。覚えておきたい言葉「ザッハリッヒ=地に足がついた」。
インターネット契約の代行会社の担当者と打ち合わせし、クッキー缶と家仕舞い総合サポートサービスの広告用チラシのデザインの打ち合わせをする。依頼する人は決めてある。制作物の指示をするのではなく、打ち合わせをする。考えを話して、目的を伝える。あとは任せる。
夕方は理容店の打ち合わせ。自社物件なので、家賃と面積の話や、区画区分の話。これからやる事の流れや費用の話をする。現地で広さのシミュレーションもやってみる事になる。妄想床屋の現地バージョン。いいPRにもなりそう。融資相談や事業計画に進む。
晩御飯はそのまま皆でサンデースパイス。ただでさえ美味しいのに、夜遅くに食べる背徳感も加わってさらに美味。食後は外に出て暗がりの中でいろんな話をする。店の灯りが外に零れて奇麗。腹八分の満足感もあり気温も湿度も適切。良い場所だ。店の成長において建築ができる事は少ない。やはり施主と、客と、時間だなと改めて思う。いろんなものに許されて成立している。許される理由も持ち合わせている。
一緒に食事をしたメンバーで最年長だったので、支払いを担当しようと財布を開く。島田君の作ったTシャツが欲しくて買ってしまったので足りない事に気づく、結局スタッフ諸共未蕾の大将にご馳走になる。許される事ではないし、足が地についた心地がしない。
ってのが先日の飼い主の独り言。ワン。

