2026年3月18日 ホッケと建具

東京の現場も終盤。この日は建具工事。建具工事や家具工事が入ると建築の現場は終了の匂いがしてくる。終了の香りと一緒に花粉も入ってくる。あと目の前の寺の焚き上げの匂いも終始している。

建具屋さんと一緒になるのは久しぶり。以前は現場の度に一緒になったが、最近はその機会が減っていたので色々話す良い機会。職人さんは皆個人事業主や法人で、私の会社以外の工務店とも取引があるので他社の話を聞く事ができるのも貴重。今忙しい所はどういう所なのか、どういう努力をしている会社に仕事が集まるのか。自分の事だけをしていると見えない情報を聞く。危機感は常にある。

無垢材を用いた外部建具を作る仕事は全国的には減っている。省エネ化が全国で推進されていて、法律もそのように改正されていく。規格があって計算しやすい既製品の玄関ドアサッシを用いた方が効率が良いのは事実。私は自分が無垢の木を使った建具が好きなので、お客様に理解される内は、無垢の建具を勧めるようにしている。好き以外の理由は大してない。なので、施主が無垢のドアが嫌いならあっさり引き下がって他の物を探すと思うが、今のところそのケースは少ない。

焼石に水のような気は当然しているが、職人のちゃんとした仕事を残したい。自分が好きなものがこの世に残り続けて欲しいという気持ちを施主に押し付けているのではという気もしないではないが、技術を残す事が今まで木建具を作らせてもらった施主への責任でもあると同時に思う。そのためには職人が食べていける環境を継続させる必要があるし、啓蒙も必要と感じている。同時に自分の意見が絶対とも思っていないので、施主と意見を交わす。あくまでも施主の資金は、施主の為に使われるべきだ。施主、職人、工務店の三方良しの状況は、対話と理解の延長線上にあるはず。

採寸が間違えなければ、取付は早い。作業終了して、一緒にラーメンを食べる。食べながら、職人さんと話す。親子で営む3代続く建具店。親子で働く大変さは私も経験している。親側の気持ちも、継ぐ子供側の気持ちも、両方分かる。血のつながりは厄介で、温かい。苦悩や苦労が無いはずがない。現場は感情を持ち込む場ではないが、ラーメン屋には持ち込んでよいはずだ。世間話と苦労話を聞く。私にできることは何だろうか。あなた達が今後も必要だ、と行動で示す事だろうか。今ここの場所に正解は落ちてないけど、応援しているよと伝え続けたい。職人さんと一緒にこの世界で正しく生き残る。

明日はクリーニング。またまた愛知から来てくれる。明日の清掃屋さんも大好きな職人さん。やりがいはここにあるだろうか。やりがいだけになっていないだろうか。今更やれることは少ないので、半身のホッケ焼きとグラスの安い白ワインで一人呑み。吞みながら、自宅の鍵を持ち忘れたのではと思いつき、妻に連絡。自宅には無かったので持ってきているはず。危機感は常にある。

ってのが先日の飼い主の独り言。ワン。

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